変貌する高架下
鉄道の高架下、いわゆるガード下と言えば、赤ちょうちんの酒場が連なるサラリーマンの憩いの場、または、薄暗い公園や寒々しい駐車場などのイメージでありましたが、先日所用で御徒町エリアを歩いていた際、その認識を大きく変える光景が広がっていました。
御徒町駅から秋葉原駅方面へかけての高架下には、「2k540 AKI-OKA ARTISAN(ニーケー ゴーヨンマル アキオカ アルチザン)」という、一見してギャラリーのような空間が続いています。再開発によって2010年に開業した商業施設であり、職人の町という台東区の特色を活かして、テナントはいずれも ”ものづくり” をコンセプトにした店舗となっています。大半は工房併設型であり、アクセサリーや革製品等、店頭に並んでいる商品が実際に作られてゆく様子が見られるほか、定期的にワークショップ等も開催されているようです。
御徒町~秋葉原に限らず、神田~御茶ノ水間において2013年にオープンした「マーチエキュート神田万世橋」や、2016年に中目黒~祐天寺にオープンした「中目黒高架下」等、高架下商業施設の数は近年増しています。その背景には、既存建築物の老朽化や耐震補強等による建て替えを契機にといったケースの他、人口減少が深刻化している今、いずれ予想される運輸収入の伸び悩みに備え、多角化事業を促進するという鉄道会社の事情もあるようです。
高架下は縦に長く、店舗面積は狭くなりがちです。大型店の出店が阻まれることから、個性的な専門店が入っているケースが多く、ビル型の商業施設とは差別化が図られています。先の「アキオカ」ですが、この度秋葉原方面へと延伸され、新たにホテルが開業したほか、”日本の技術” をテーマとした商業スペースが増えました。更には現在、高架下の聖地である有楽町~新橋駅間も再開発中のようです。加速する高架下の生まれ変わりに、今後も注目です。(祐紀)