スパリゾートハワイアンズの思い出
福島県いわき市に存する大規模温泉リゾート施設「スパリゾートハワイアンズ」の運営会社・常磐興産が、米投資ファンドの傘下に入ることになりました。地域経済を牽引する象徴的な施設への外資参入を受け、地元では、驚き、不安、期待の声が交錯しているそうです。
常磐興産は、渋沢栄一らが設立した磐城炭礦に端を発します。いわき市常磐地区はかつて石炭の町でしたが、エネルギーの主流が石油へシフトしたことにより石炭産業が斜陽となり、企業の存続と地域経済再生の為に新業種への参入が検討された際、「坑内から湧出する温泉の地熱と豊富な湯量を利用すれば、東北の地でも一年中温暖な空間が創出できる」として、スパリゾートハワイアンズの前身である常磐ハワイアンセンターが誕生したそうです。人気のショーを演じるフラガールは映画化され、東日本大震災後は復興のシンボルとして多くの人を勇気づけました。しかし、1966年の開業から半世紀以上が経過し、施設の老朽化が相当に進んでいます。新型コロナウイルス禍中の経営悪化もあり、十分な設備投資が行える状態にないことから、今回、不動産事業に強みがある外資系ファンドの買収提案を受け入れたそうです。
スパリゾートハワイアンズに限らず、近年、外資による象徴的なリゾート施設の買収が相次いでいます。宮崎県のシーガイア、北海道の星野リゾートトマム、長崎県のハウステンボス等、いずれも施設の老朽化・設備投資の困難等を背景に、外資系企業の傘下となっています。大型リゾート施設を末永く維持する為には、やはり、老朽化への適切な対応が喫緊の課題です。
母の実家が福島県なので、幼い頃は、毎年夏休みになるとハワイアンズに連れて行ってもらうのがとても楽しみでした。ガラス越しに魚が泳いでいる温泉や、大型の流れるプール等、子供心には別世界でした。思い出が沢山詰まった施設、後世まで残って欲しいです。(祐紀)