MIPIMアジアサミットに参加致しました
2024年12月3日、4日に香港で開催されたMIPIMアジアサミットに、当社代表の小室と、中澤、山中の3名で参加して参りました。今回のMIPIMには、アジアを拠点とした有名企業やグローバルファームのCEO、ディレクター等を始め、各国の優秀な不動産プレイヤーが参加しており、トップマネジメントの立場から見た不動産市況の知見を深め、また各国のプレイヤーとの情報交換の機会を設けることができました。
MIPIMのメイン会場では、登壇者によるディスカッションと、参加者間のネットワーキングが交互に行われました。2日に及ぶセッションの中では、デジタル化、脱炭素の潮流、一帯一路構想、低空経済等、不動産業界の最新トレンドを捉えたディスカッションに加え、投資先として優良なアセットタイプ、国、資金調達の方法まで幅広い議論が展開されました。登壇者の一人が紹介していた、カーボンニュートラルを実現するための建築技術や、エネルギー効率の高いスマートビルディングの事例は、現実的かつ先進的な取り組みとして非常に興味深いものでした。また、デジタル化に関しては、不動産取引におけるブロックチェーン技術の活用や、AIを活用した土地や建物の評価プロセスの効率化が今後のスタンダードになる可能性について議論されており、そのインパクトの大きさに驚かされました。さらに「日本」については、魅力的な市場として取り上げられる場面が何度かあり、低金利環境、正のイールドギャップ、安定的な経済等のキーワードが多く語られていました。一方、ネットワーキングの場面では、新たな鑑定評価の可能性も感じました。とある投資家との会話では、よりスピーディーな投資リターンを目論んだ「オペレーター」への投資が話題に上がり、例えばホテルを「不動産」としてではなく、「経営プラットフォーム」として評価する需要が今後期待され、これに不動産鑑定士がいかに対応し得るかが試されていると実感しました。また、昨今活況なAI需要に伴い「データセンター」の評価について聞かれる場面が多々あり、まだ歴史の浅いこのセクターについて、鑑定業界内でもナレッジの集約と評価手法の確立が必要であると感じました。
小売業を中心に香港経済の状況は厳しく、特に外国人や香港市民の流出による実需の低下が顕著です。また、中国本土の不動産市場の不況も影響し、基幹産業である不動産開発は深刻な低迷に直面しています。その一方で、香港のプロフェッショナル・ハブとしての役割は依然として堅調であり、国際的な投資機会の拡大に寄与できる鑑定士の需要は、日本をはじめとする世界各国で重要性を増していると実感した香港出張でした。(山中)