3Dプリンターの家
建築費の高騰や人手不足等を背景に、住宅の価格は上昇し続けています。東日本不動産流通機構によると、首都圏における新築戸建て住宅の平均価格は、2020年には約3,500万円でしたが、2022年には約4,200万円と、僅か2年間で20%近く上昇しました。今のところ、住宅価格を押し下げる要因も見当たらないので、暫くは高止まり状態が続く見通しのようです。そんな中、3Dプリンターで作った家ならば、50㎡の新築戸建て住宅が550万円で買えるというお値打ち情報を耳にしました。しかも、工期は約44時間だというので驚きです。
そもそも3Dプリンターで家が建てられるということ自体が衝撃的だったのですが、海外では住宅や橋梁の建築実績が多くあり、日本でも建築用3Dプリンターメーカーや建設会社による研究が行われているようです。3Dプリンターのメリットは、従来の工法に比べて工期を大幅に短縮できるということです。また、主な材料はバイオセメントやコンクリートなので、建築費が木材市場に左右されません。更に、作業の殆どは自動なので人件費が大幅に抑えられ、3Dプリンターを現場に運んでその場でパーツを作るので、運搬費についてもコストダウンすることができます。また、3Dプリンターは曲線など形状が複雑な住宅の建設を得意としており、デザイン性の高い建築物を造ることができる点もメリットだと言えます。このように、様々な利点がある3Dプリンター住宅ですが、残念ながら現行の建築基準法が3Dプリンターでの施工を想定しておらず、建築確認をクリアするのが容易でないようです。よって、住宅市場への参入には時間がかかるかもしれませんが、過去には24時間未満で住宅が竣工した事例もあるそうなので、災害時等に用いる仮設住宅の建設等にはすぐにでも活かせるのではないかと思いました。(祐紀)