地域交流拠点としての子ども食堂
当社では、2018年より前年の事業実績に応じた寄付を行っております。今期は、子ども食堂への食糧支援という形で寄付をさせて頂きました。子ども食堂とは、子どもが一人でも安心して来られる無料または低額の食堂です。東京都大田区で八百屋さんを営んでいた女性が、2012年に始めた「だんだんワンコインこども食堂」が発祥だとされています。知り合いから、「給食以外は毎日バナナ一本だけで過ごしている子どもがいる」という話を耳にしたことが、開設のきっかけとなったそうです。子ども食堂の数は近年急速に増えており、NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」が発表した調査結果によると、2019年は約3,700ヵ所だったものが、21年には6,000ヵ所を超え、2022年12月時点においては7,331ヵ所まで増加したとされています。言うまでもなく、コロナ禍で経済的に困窮する家庭が増えたことが背景にあります。
子ども食堂の課題として、「本当に来て欲しい子どもに来てもらえない」というお話を伺いました。「子ども食堂に行く子どもは貧困家庭の子どもである」というレッテルが貼られてしまっており、親が恥ずかしがって行かせないケースが見られるそうです。この問題を是正する為には、「子ども食堂は生活に困窮している家庭の子どもだけに食事を提供しているわけではない」という認識を広く普及する必要があります。事実、対象者を子供だけに絞っている食堂は4%程度であり、運営者の意識は勿論貧困状態の子どもに向いていますが、実際の子ども食堂では地域の高齢者や学生等も一緒に食事をしています。より多くの人たちが利用することによって、多世代間の賑わいが生まれ、本当に支援が必要な子どもも来やすくなるそうです。今回お話を伺った中で、「まずは興味を持つことが大事」というお言葉が印象的でした。 (祐紀)