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ワイナリー巡りをしてみたい

先日読んでいた旅行記は、イタリアトスカーナ地方のワイナリーを周遊し、ワインと供にキノコやジビエ等、土地の滋味を堪能するというものでした。あまりにも魅力的であり、日本でもそのような体験ができないかと調べてみたところ、ワイン特区なる地域があるということを知りました。

ワイン特区は、構造改革特区制度における酒税法の特例措置によって、果実酒製造業に参入しやすくなる区域です。通常、果実酒等の製造免許を取得するには、最低製造数量基準が年間6キロリットルと設定されています。しかし、その地域で採れた特産物を原料にすることを条件に、果実酒については基準を2キロリットルに引き下げ、小規模事業者の製造免許取得を可能にしたのが、この特例です。製造しなくてはならないワインの最低量が少なくなると、設備が小規模で済み、イニシャルコストが低減されます。ワイン作り参入へのハードルを低くすることで、地域に活性化をもたらそうというのが、構造改革特別区域法の趣旨です。ワイナリーが集積し、地域一帯がワイン産地になれば、ブランド力が強化されます。その土地ならではの特産物を使用した多種多様なワインを製造することで、地域の魅力が高まり、観光客増加や関係人口の拡大が期待されます。近年国内におけるワイナリーは増加傾向にあります。2021年のデータをみると、ワイン特区は全国に約100区域程度あり、最多は長野県、次いで高知県、秋田県となっています。山梨県が上位にないことをとても意外に感じましたが、山梨県は大きなワイナリーが多い一方、小中規模ワイナリーは少ないそうです。

夕刻に欲する一杯が、冷えた白ワインから濃厚な赤ワインに切り替り、秋の訪れを実感するこの頃、日本各地のワイナリーに思いを馳せています。普段はもっぱら安価な輸入ワインを飲んでいますが、ワイナリー巡り実現に向けて、日本ワインを勉強してみたくなりました。(祐紀)