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IR~統合型リゾート~

 

2016年12月に施行された特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)によって、日本におけるIR(統合型リゾート)の設置について検討が進められてきましたが、政府は今年2月、IR認定区域数の上限を3か所で調整するとの報道がありました。
IRにはカジノを含むため、ギャンブル依存症の対策や、国内の既存ギャンブルとの関係等の整理など、とかくカジノ導入に関する課題が多く、注目されています。

他方、IRには国際会議場や展示場、劇場や美術館等の他、一定規模以上のホテル等が中核施設として整備される方針で、多大な経済効果が期待できるとされています。特に、観光型IRでは国内外の観光客を幅広く集め、費用対効果が高い投資との分析もあります。
IR設置が実現された地域には、交通インフラの整備、雇用の創出といった波及効果が予想され、地域振興を推進する起爆剤として期待されています。実際、IR誘致の動きがある候補地には、東京や横浜、大阪といった大都市圏の他に、沖縄や小樽といったリゾート地、釧路、秋田、徳島といった地方圏も挙げられています。さらに、長崎ハウステンボスや宮崎シーガイヤ等の既存のレジャー施設でもカジノ誘致の動きが見られるなど、候補地の属性も多様です。

地域のまちづくりとしての側面からは、海外で運営されている施設のあり方をそのまま日本でも導入するのではなく、地域ごとの特色を生かした施設とすることで、観光型IRとして文化や情報の発信地としての役割を担うことができます。まだ実現までの課題は多いとされますが、高い経済効果も重要ながら、地域とその住民にとって有益となるIR開発が進められることを期待しています。 (小室)